ミヤマウズラ
和名:深山鶉 ラン科 シュスラン属 多年草  鳥取県:準絶滅危惧 平成19年3月19日
ある夜、日没後の林道を走っていて道沿いに岩を見つけた。何か変わった植物でもないかと懐中電灯で照らすと、小さな花穂が光の中に浮かび上がった。これが私とミヤマウズラの出合でした。

日中、同じ場所に花を見に行きましたが、目立つ植物でもなく、花も小さく直ぐには見つかりませんでした。デジカメで撮影し種類を調べて、やっと野生ランのミヤマウズラと判りました。

周辺を探し、この岩場に23株程見つけましたが、花の咲いた物は6株。この株が最も大きく、花穂の長さも一番長かったです。と言っても高さ20cm以下です。斑入りの葉が特徴ですが、無班のものもあります。

ミヤマウズラと言う名前ですが、標高の高い山ではなく低山に多いです。

晴天ですが、ここは日中でも日の当たらない北面の崖です。
2005年9月1日午前11:30鳥取市で撮影。
花のアップです。豚の鼻のような班があります。花はとても小さく、1cm位。色が青みがかっているのは青空の色反射です。実際はもっとピンクに見えました。

三脚だと岩に接近できず、一脚を岩に固定し、風で揺れる花を撮影しました。マクロでもピントが合わせにくく、沢山撮影して後で選択するしかありません。
他の場所で、花の終わったミヤマウズラを発見、花穂がなければ気付かなかったかも。2箇所目の生育地です。この株は葉もとても大きく、5cm位はあります。花穂も高く25cm位。

発見時は他の植物に覆われかけていました。ここは公園の遊歩道脇で、周りの木は刈られていました。もちろんこのミヤマウズラも刈り取り範囲内です。

周辺を丹念に探し回って、20株ほど見つけましたが、どれもこれより小さく花をつける物は少ないです。

2005年9月29日鳥取市内で撮影。
翌日、日中に撮影に行きましたが、昼なお暗く、結局ストロボ一発になります。
ちょっと手入れして覆っていた植物を取り去りました。向こうに見えている斑入りのような植物はテイカカズラと言い、この公園内の林床を一面覆い尽くしています。
逆にテイカカズラの密生しているところは日当たりも良く、少し湿度が高いのです。ミヤマウズラは日当たりが悪く、乾燥して他の植物が生育出来ない場所に生えています。
標高は30m程、周囲は照葉樹林です。ミヤマウズラは、落ち葉をはね除ける成長力はありません。落葉広葉樹林では落ち葉に覆われて枯死する可能性が高いです。
2005年9月30日撮影。
翌年、春になったので観察に行きました。真っ直ぐ立っていた茎が、冬の雪の重みで横に寝ています。昨年の葉はかなり色褪せています。

2006年4月9日撮影。
山歩きで、偶然にミヤマウズラの3箇所目の生育地を発見。1uに10株以上。万株単位の大群生地です。踏まないように歩くのが大変。

見てください松の枯葉の下には小さな株が生きています。広葉樹の落ち葉の下では枯死する株も松葉の下ならOK。

松林の尾根なので乾燥が凄く、他の植物が生育できないようです。ミヤマウズラを覆う植物が無いのは幸いです。でも貧栄養と乾燥で、どの株も小さいです。これで何年位経っているのか?

2006年5月鳥取市内で撮影。
しばらくして、また大株の様子を見に行きました。昨年の茎の下から左に新しい株が出てきました。
徐々に手入れして、周辺の植物を取り去りました。地味な植物なので、こうしてもこの辺にあったはずだと探して、ようやく見つかります。

この年は花穂を付けることはありませんでした。

2006年6月24日撮影。
今年は暖冬で雪がほとんど積もらず、様子を見に行きました。新しい株が大きくなり、一昨年咲いた株の成長は止まっています。

新株の葉は、手入れしてほんの少し日当たりを良くしたからか、とても大きく成長しています。今年、この株に花穂が付くようです。楽しみです。

人の滅多に来ない公園だけど、下草狩りで刈り取られないように、誰かに堀採られないように、遊歩道脇だもの・・・・。

2007年3月16日撮影。
花時期ですが忙しく確認に行けません。日没後に大株を見に行くと、最後の花が残っていました。9月上旬が見頃でしょうか。一昨年の葉は消えて、残った茎に新しい芽ができていました。
 2007年9月17日。 淡いピンクがとても綺麗です。花は20個ありました。
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