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タマガワホトトギス和名:玉川杜鵑 ユリ科 ホトトギス属 多年草 |
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鳥取県:絶滅危惧U類 県内分布:大山・三国山・氷ノ山 |
平成24年9月7日 |
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タマガワホトトギスは、レッドデータブックとっとり初版では絶滅危惧T類に指定されていたが、2012年3月発行の改訂版では絶滅危惧U類に変更された。
これは、今まで分布は鳥取県では氷ノ山のみとされていたが、新たに大山と三国山で確認され、生育地が増えたためだ。
と言っても、氷ノ山でも生育場所は限られ個体数も少ない。
大きな株では、花は互生する葉腋から花柄を出すが、小さな株は茎の先端に散房花序をつける。氷ノ山では花は茎の先だけの物が多い。
写真は平成22年7月中旬撮影。
このページは平成22年から平成24年に氷ノ山で撮影した写真を使用しています。 |
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花を拡大。
雌しべの先に透明な粒が見える。ホトトギス属の花は不思議な構造をしている。 |
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見ての通り蕾が順番に大きくなり咲く。構造上同時に多くの花は咲かない。黄色い花でも目立つ訳ではない。
深い渓谷にそっと咲く花は魅力的だ。 |
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花を撮影していると蜂が来た。激しく動くので蜂の姿がぶれている。
調べてみるとマルハナバチの仲間らしいが、種類が多く名前はわからない。ミヤママルハナバチなのかな?
蜜を吸いながら、そのお尻には針が飛び出ている。でもマルハナバチの仲間は温和しいので刺される心配はない。 |
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正面からの写真。胸部はオレンジっぽいが顔は黒い。
調べていると、ホトトギス属のこの変わった花の構造と、受粉を媒介するマルハナバチの関係がわかってきた。
花には、雄しべと雌しべの形で雄性期と雌性期があるらしい。咲いた時は雄性期で、1〜2日後には雌しべが反り返って雌性期になるのだと言う。
詳しくは「ヤマジノホトトギス/タマガワホトトギス/トケイソウ」と言う名のサイトに書いてあり、そちらのページを検索して下さい。 |
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小さなアブも来る。
受粉の媒介はしているのだろうか。 |
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タマガワホトトギスの蕾。
標高の低い場所で、まだ蕾で咲いていない株があった。時期が早すぎたかと思ったが、登っていくと上の方が日当たりがよいのか咲いていた。 |
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蕾には毛が生えている。 |
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これは同じ日に見たヤマジノホトトギスの蕾。 |
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8月下旬の果実。 |
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果実は朔果で、断面が三角形のオクラ状。 |
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10月1日に行くと、かなり前に実が割れ種子は飛散していた。 |
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実は3裂する。 |
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6月下旬の芽吹き。
見慣れてくるとこれでもタマガワホトトギスだとわかる。 |
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タマガワホトトギスの群落。
普通群落を作ることは少ないが、ここは条件がよいのか密生している。 |
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しかし、ヤマジノホトトギスは氷ノ山では場所を選ばず生えているし、鳥取市近郊の山でも見られますが、タマガワホトトギスは極めて分布が限られます。この違いは何なのでしょう。
生息場所は深い谷の底だけなので、人による採取と鹿による食害、大規模な土石流がなければ今の分布は守れるでしょう。
平成23年9月上旬、台風により大山山系に記録的豪雨が降った。大山の谷の崩落を見ると、今まで長い間には氷ノ山でも考えられないような破壊があり、それをタマガワホトトギスは生き延びてきたのだとおもう。
いつまでもひっそり咲いていてほしい。 |
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