ツルリンドウ
和名:蔓竜胆  リンドウ科 ツルリンドウ属 蔓性多年草 平成19年9月14日
夏の終わりに咲く淡い紫色の花は地味で目立たないが、秋の赤い実は派手でよく目立つ。濃い緑の葉には三本の葉脈がくっきりとあり特徴的です。この葉脈を憶えると瞬間に識別できる。

ツルリンドウは鳥取県東部では標高1300mから平地まで生えている。それなら何処でもあるかというとそうではない。

蔓と言っても長さ数十センチ程度で、上に伸びず地を這って横に伸びることが多い。

淡紫色の花。H18.09.03鳥取兵庫県境氷ノ山
生育場所は、ある程度日当たりがあって他の植物に覆われない林の周辺の遊歩道脇が多い。

鳥取市上町にある樗谿公園から太閤ヶ平(本陣山)まで、片道3.5kmの遊歩道脇を丹念に探したが一箇所に2株生えているだけだった。

これは刈り込みで弱った株が、生育の良い他の植物に覆われて消滅したのだと思う。人間の踏みつけや工事の後も消滅する。

秋に目立つ赤い実。H17.11.09鳥取兵庫県境氷ノ山
太閤ヶ平から摩尼寺に抜ける遊歩道に三枚札という場所があるが、直ぐ北の道脇に大きな株が生えている。人間の改変の少ない所なら生育できる。非常に微妙なバランスで生きていると思う。

扇ノ山では頂上手前の登山道に、それより高い氷ノ山も同じ標高の1300m位まで生えている。その上の高い場所はネマガリタケが旺盛なのと、工事や人間の踏みつけで生えないだけで、本当はさらに標高の高い場所にも生育できるのかも知れない。

鳥取市久松山山系の三枚札北の大きな株。H19.07.22
平地ではツルリンドウに合った生育条件が少ない。標高の低い土地は林が少なく、短時間で高く伸びる雑草も多い。多年草というのがミソで短期間での生育は他の植物に劣る。

唯一適した場所は神社なのかも知れない。鳥取市宮谷にある立見神社の本殿裏には沢山生えている。他の神社でも見かける。極相林で刈り込みが少なく、人間の改変が少ないことが幸いしているのだろう。

鳥取市立見神社本殿裏。H18.06.25
適応温度範囲は広いが条件が難しい植物なのだろう。

似た葉を付ける植物にアカネ科のものがある。こちらは繁殖力旺盛で蔓が高く絡む。葉脈も違う。


何故か紅葉した葉。付近には普通の葉もありました。H18.10.09鳥取兵庫県境扇ノ山の大石登山道
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