晩秋の氷ノ山 2
2番目のクサリ場。ここで尾根に取り付き登ってゆく。
尾根に登るとツルリンドウが出迎えてくれた。花の季節には目立たない植物だが、実は他の植物の終わった後にしっかり目立つ。
暗い渓沿いを歩いてきた後の尾根道は明るい。植物群もガラリと変わり、翌年のための営みが始まっているようだった。
昨年の台風のためか、大雪の影響か、天然杉が倒れていた。杉はまだ枯れていないので枝を伸ばし再生するのか、登山道の整備で切られるかもしれない。
尾根の登山道と出会いました。同じ場所でも、氷ノ越えから来るのと違う印象です。
積雪期の難所甑岩も冬の準備。
昔は登れたし、道もあったのですが、今はルートがほとんど消えています。ここより上はとても寒かったです。

今日は他にも目的があります。この甑岩の上にある、氷河期の残存植物を見ることです。残念ながら、今回は見つかりませんでした。
登山道の水溜まりは朝の冷え込みで凍り、日中の暖かさで大分溶けていました。今は午後3時なので、この後再凍結するのでしょう。手がかじかんで手袋をしてやっとでした。
山頂が見えてきました。風が強く、僅か登るとどんどん寒くなってきました。
山頂の須賀ノ山神宮跡。

風が強く寒くて堪らないので、避難小屋の中で休息しました。小屋はあちこち隙間があり、囲炉裏の横から下の地面が見えます。話では雨漏りもするそうです。でも外に比べて格段に暖かいです。

小屋の中には登山靴のソールがありました。私は蒜山の下山中にソールが割れて困ったのですが、まだひどい人がいました。完全に剥離して歩きにくかったでしょう。私はあの後、他の登山靴を探したのですが、甲高の私に合う靴がなく、バーゲンで8千円で購入した靴を1万円で直しました。
小屋より古生沼を望む。初めて氷ノ山に登ったのは25年以上前です。
古生沼は氷ノ山の噴火口跡で、気温が低く苔が腐敗せず積み重なったので、乗ると段々沈んで水が染み出てきました。柔らかいクッションに乗ったような感じでした。杖を直径数十センチの池塘(ちとう)に突っ込むと1m以上手応えがありませんでした。
今はその池塘も消えたそうです。僅か30年弱でも変化するのですね。沼の一生の最期でしょう。
立ち入り禁止の理由は、増えた登山者が大便をするので沼が富栄養化し、貴重な植物群が消える怖れがでてきたためだそうです。
周辺のダイセンキャラボクを観察し、鳥取県のエコトイレの裏に回ると猫が。
つい声をかけたのですが反応がありません。昨日の凄い冷え込みで凍死したのでしょうか。大分痩せていて、死後間もないようです。犬は縄張り巡回で山にも登りますが、猫が何故氷ノ山に登ったのでしょう。
私は犬も猫も大好きで、とても悲しかったです。私と同じで、彼(彼女かも)は何があるか見たかったのでしょうか。猫には無理ですが、避難小屋の戸を開けることが出来れば凍死しなかったでしょうし、甑岩まで降りれば大分気温も違うのですが。
今日は時間短縮のため軽装備です。埋めてやるにも、木を切るナイフもありません。何だか自分の姿と重なり寂しくなりました。
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