スズコの氷ノ山 1 平成18年6月2日 所在地:鳥取・兵庫県境
楽しみにしている氷ノ山のスズコ(ネマガリタケ、和名チシマザサの竹の子)採りの季節がやって来ました。
昨日、午後に時間が取れ氷ノ山に行こうとしました。鳥取市から若桜に行き、戸倉峠を越え横行渓谷から大段ヶ平を目指しました。ところが横行渓谷は数日前から道路が崩落し通行止めでした。
どうなっているか歩いて確認すると、河川が道路を浸食して道幅1mちょっとの所がありました。2ヶ月程通行止めだそうです。

写真は横行渓谷で見た栃の花。
昨日の失敗にもめげず、本日は反対回りで大段ヶ平に行きます。

鳥取から国道9号経由で関宮を通り、福定そして大段ヶ平に行きました。ただ、何でも首を突っ込む性格なので、大久保を通りハチ高原を覗きます。久しぶりに来る高原は開放的で良いなあ。
ハチ高原から氷ノ山を見ると山頂の小屋や、右肩には甑岩、左に古生沼の林が見えます。山頂の左下には雪田、渓にはまだ雪渓があります。

左端の林は古千本杉の林ではありません。古千本杉はもっと左です。
寄り道し過ぎました。目的のコースを進みます。福定に降りて林道を進むと、福定親水公園があります。
ここに車を置いて登る氷ノ山越えコースが、数ある氷ノ山の登山コースの中で一番標高差があります。

ここでも下山したばかりのご夫婦に山の様子を伺います。「ギンリョウソウが咲いていたけれど、スズコが余り出ていなかった。例年より大分季節が遅れているようだ。」とのことでした。氷ノ山越えのスズコは遅れているようです。
氷ノ山国際スキー場を通過し東尾根登山口に差し掛かります。このコースは階段地獄だそうです。
林道は舗装と未舗装が繰り返します。何でも兵庫県では道路を舗装すると自然保護団体がクレームをつけるそうです。

道路が良くなりすぎると多くの人が押し寄せるし、乱暴運転の車がレースをしに来るらしいです。ダートばかりだとオフロードバイクの人がツアーに来ますし、大変難しいものです。
林道沿いにはタニウツギが咲いていました。淡いピンクが綺麗です。人間の様々な欲を笑っているようです。
延々と林道を走り大段ヶ平に着きました。ここには100台位簡単に置ける大駐車場があります。
今降りてきたばかりの、スズコ採りの業者の人から情報を得ます。例年より2週間は遅れているが、今からがスズコ採りのピークだそうで、ついでに採り頃のスズコの見分け方や採り方、はたまた雑談。
本業は農家で「近年、氷ノ山山系では鹿が非常に増えていて、ひどい目に遭わされている。この冬の豪雪で、春に雪が溶けると、あっちこちに鹿の死骸がころがっていてとても嬉しい。それに例年この時期に見るバンビを一匹も見かけない。」と喜んでおられました。昨日私も横行渓谷の林道で一匹の死骸を見ました。
登山口に向かえば大黒様が降りてきます。これは本業の人ではありません。これでは5〜6キロ程度、皮を剥けば3分の一になり数倍は採らないとお金になりません。何でも仲買人がこの駐車場で待っており、買い付けていくそうです。
人は一杯いるけれど、スズコ採りの人ばかりで登山の人はいません。先程聞いた話では、人が一杯でクマは全く出てこないし、考えたこともないそうです。本日はまだ4組の業者が山に残っているそうで、関宮名産のスズコは、採取業者さん仲買人・加工業者で成り立っています。
氷ノ山越えの道では登山ついでに、手に数本や1キロ位採る人はいても、頂上に行かずスズコ採りしている人は見かけません。
業者の人は、私たち素人は全く問題にしていないようです。毎日一人数十キロ採る人から見れば、数キロ採る素人に収穫量が影響されるようではプロの名が廃るようです。
登山口です。オフロードバイクの進入禁止のため杭が打ってあります。兵庫県側の緩やかな登山コースには杭が打ってある所が多いです。それからスノーモービルも禁止ですがMTBは問題ありません。

ここから標高差410m 距離2.8kmで山頂に行けます。登山口横の看板には「氷ノ山山頂へは、ここ大段ヶ平からが最もやさしいファミリールートです。」と書いてありました。お子様連れでも登れます。
チゴユリが咲いていました。何処でもあるけれど。
登山者が多いのでぬかるみ易いところには木道が設置してあります。ぬかるむと登山者は道の両側を歩くので、登山道がすぐ広がってしまうからでしょう。
ユキザサも咲いています。
大屋町避難小屋がありました。木造で好感の持てる小屋。あとで確認したのですが、奥側の天窓が開いたままになっており、冬に少々問題が有ります。補修しなくっちゃ。
登山道の途中に、幅数メートルでチシマザサが刈り払われていました。戦後にブナを切り払って売った後、ブナの種子が芽吹いても成長できず、チシマザサだけが繁殖したようです。

この道の奥でササを刈り払っての広葉樹の再生実験でしょうか。道は100m以上続いていました。自然のままだと、人の通らない登山道もすぐ消えてゆく。チシマザサは強烈です。
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