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ミヤマシシガシラ

和名:深山獅子頭   シシガシラ科  ヒリュウシダ属  多年草
  鳥取県:絶滅危惧U類  県内分布:扇ノ山・高山・高鉢山・氷ノ山 平成25年8月19日
シシガシラは、植物の名前を調べ始めると最初に覚える植物。道の法面には全国どこにでもあり、このページ一番下の写真を見れば、あれかとおもう人が多いだろう。

それに比べ、ミヤマシシガシラはなかなかお目にかかれない。

ミヤマシシガシラの特徴は、シシガシラに比べ胞子葉が長く、栄養葉(下にある普通の葉)の2倍近いことだ。中央左上に伸びているのが胞子葉。シシガシラでは胞子葉は栄養葉より少し長いだけ。

写真を見てわかるように、日中でも少し暗い場所に生えていることが多い。これは、日本海側の多雪地中心の植物で、冷涼で湿り気のある場所を好むことも関係している。

写真は平成25年8月18日扇ノ山で撮影。
ミヤマシシガシラの大きな株が並んでいる。
川の源頭斜面にあるミヤマシシガシラの群落。

扇ノ山で見かけるのは、ほとんどがシシガシラ。ミヤマシシガシラは特殊な条件の所だけに生えるようだ。

鳥取県でも分布は限られているが、兵庫県の分布はさらに少なく扇ノ山と氷ノ山だけ。

写真は平成25年8月8日扇ノ山で撮影。
一番上に生えているのはヤマソテツ。その下のシダの名前は不明。ここにシシガシラは全く生えていない。

葉の色に濃淡がある。中央左下の明るい緑の葉が今年芽吹いた葉。左下に芽吹き中の葉が見える。

昨年の葉はそれらより暗く、さらにくすんだ色の葉は昔の葉だろう。古くなると、少し青みを帯びた緑に見える。

シシガシラは毎年多数の新葉を出す。勢力の違いもあるだろうが、ミヤマシシガシラの新葉は数が少ないようだ。
比較に普通のシシガシラの展開中の新葉です。多くが新葉に替わるようです。

写真は平成24年5月14日に、鳥取市樗谷の遊歩道脇で撮影。
ミヤマシシガシラの胞子葉。
ミヤマシシガシラの見分け方として、葉の中軸根元側が紫褐色をしていることが上げられる。中軸は裏だけでなく、表も紫褐色をしていることが多い。

個体によってばらつきがあり、色が変わっている部分が短い場合や、若い葉では色が付いてないこともある。
葉の表側。

中軸に溝があり紫褐色をしている。
葉の裏側。

中軸は隆起している。
ミヤマシシガシラの葉身を拡大する。

羽片の幅が広く先が丸い(鈍頭)。幅が広いので葉身に付く羽片の数は少ない。

羽片の表面に隆起した模様がり、触ったときにザラザラする。この模様は、比較的小さなミヤマシシガシラでもわかる。

写真は新しい葉で、中軸は紫褐色に色付いていない。
平成23年9月25日に撮影。
比較にシシガシラの葉身を拡大します。上のミヤマシシガシラのすぐ横に生えていたシシガシラです。

羽片の幅が狭く先が尖る。羽片の中肋は窪んでいる。中肋の窪みはシシガシラの特徴。
オサシダの葉身。
暗い谷で光線状態が悪く、ピントも甘い。

羽片の幅が広いので、葉身に付く羽片の数は少ない。先は鈍頭。
羽片中肋(羽軸)の溝は不明瞭。

羽片に不明瞭なミヤマシシガシラのような模様があるが、微細な皺で隆起した模様ではない。全体にシシガシラより小振り。

オサシダは鳥取県の準絶滅危惧種であまり見かけません。主に鳥取県東部に多く、シシガシラは土に生え、オサシダは岩壁に生えます。

写真は平成25年8月18日に扇ノ山で撮影。
扇ノ山はレットデータブックの分布域に含まれませんが生えていました。
一株の葉数は少ないが、元気そうなミヤマシシガシラの株。

上の左右に伸びた葉が新葉。手前下は昨年の葉。
何株なのかわからないほど、株が絡み合って生えている。元気な証拠でうれしい。
こちらは典型的な普通のシシガシラの株。
この形を獅子のたてがみに見立てて名前が付いた。

シシガシラは、ミヤマシシガシラに比べ、全体に大きく葉身の幅も広い。

写真は平成23年9月27日に、鳥取市樗谷の遊歩道脇で撮影。
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