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氷ノ山 自然探勝路の鹿食害

平成24年7月17日
 平成23年5月16日 氷ノ山 自然探勝路
平成23年掲示板に書いた内容と重複しますが記録として作成しました。

平成22年4月、鳥取県の自然保護関係の人と山で会った。その時色々お話をしたのだが、氷ノ山自然探勝路の植物群落が鹿の食害で壊滅状態になっていると聞いた。

その年の6月17日に、仙谷のサンカヨウ群落の被害状態を見てショックを受けたのだが、自然探勝路は見ていなかった。翌平成23年に歩いてその変わり果てた姿にビックリした。

探勝路横の斜面は、鹿に食べられたサンカヨウの茎だけ残り、電気柵で囲まれていた。

※画像をクリックすると拡大画像( 1824×1368ピクセル 497KB)が別ウインドウで開きます。
遊歩道に不釣り合いの電気柵。
先の斜面。こちらは元からサンカヨウが少ない場所で、これから他の植物も芽吹いてくると思われます。一部植物が残っているが、これはサンヨウブシというトリカブトの一種です。

自然探勝路は、タイミンガサやギンバイソウ・ヤグルマソウと色々な植物が生えているが、場所により棲み分けと濃淡があり、それぞれの単成群落に近い状態を見ることが出来ました。
鳥取県も危機感をもっているが、鹿の増加に歯止めがかからない。一般の人が通る場所だし、ワナを仕掛けても効果がうすい。

氷ノ山の鹿は増加した兵庫県からの越境鹿が大きな原因だと思う、だからと言って県境に沿って延々と防護柵を設置すれば解決する物でもない。もちろん豪雪地なのでそれも大変だが。

増え続ける鹿に困った兵庫県側は、鹿の猟期の延長や平成22年度の捕獲目標を前年の2万頭から1万頭増やし3万頭とした。

さらに猟友会に委託してシカ捕獲専任班を設置したり、猟期以外は個体群管理事業や一般有害鳥獣駆除で通年に近い駆除を行っている。
 平成17年7月14日 氷ノ山 自然探勝路
平成17年の自然探勝路の写真がありました。

ここは探勝路入口からすぐの所。

この頃は、それまで氷ノ山周辺で鹿に滅多に会うことが無かったのに、希に見かけるようになった時期です。

それでも、今のように多数の食痕を見ることになるとは考えませんでした。
崖の下の急斜面に植物が繁茂しています。葉の大きな植物が多く、見応えがあります。

手前に見えているのはタイミンガサ、その奥はギンバイソウの群落で、真ん中右にウドが一本あります。
栃の巨木とその下草の植物群。

当時植物に興味を持ち始めたばかりで、知識もなく撮影の仕方にも影響しています。今ならもっと別の角度で撮影すると思います。

ここは素人が普段見られない植物を身近に観察できる場所でした。

真ん中下はクサアジサイでしょうか。アジサイ類は苦手です。
見ていると、太古の氷ノ山の巨木の森が目に浮かんできます。
見上げるような急斜面に溢れる植物。見応えがあります。
ギンバイソウの群落。
鹿がここの植物を食べなければ人間の対応も違ったでしょう。

沢山生えているから少しぐらい食べても大丈夫と言うのが人間の考えですが、鹿の食害は広範囲で絶滅危惧種も関係ありません。氷ノ山に残る氷河期からの残存植物を見ていると、これを絶やして良いものかと考えてしまいます。

鳥取県に電話して「鹿を殺して下さいと」力を込めて言いました。いや本当は狩猟免許を取って山を歩くべきでしょうが、生き物が大好きな私に鹿は殺せそうにありません。
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